懐かしかった 出浦照国先生の低タンパク質食の話

私は最初に勤務した栃木県済生会病院で、初めて透析センターが立ち上がったとき、透析食にかかわった。
MCT(中鎖脂肪酸)が発売されたばかりの頃だったので、試行錯誤でシャーベットやクッキーを作り、病棟まで届けたことを思い出す。

それから10数年、子育てもめどが付き、嫁いで来た岡崎市の医師会が開設する健診センターに採用されたことを機に、病態栄養相談室を立ち上げた。

病診連携で患者ケアをしていく、当時最先端のシステムだったと思う。

ちょうどその頃、愛知県で何度も実施されていた腎不全・低タンパク食の勉強会で、出浦照国先生と出合った。

20代の頃、結婚と同時に、志半ばで栄養士の仕事からはなれてすぐ、低タンパク食(でんぷん米)が開発されたという朗報を耳にしたのに・・・・。その後、10年以上たっているというのに、それが普及していなかったことにショックを受けた。

確かに当時のでんぷん米や麺類、どれを食べても、けっして美味しいというものではなかったけれど

これらを用いることで、エネルギーは確実に確保できるし、何よりも肉や魚、卵といった良質のたんぱく質をおかずに加えられる。

どうしてこんなにいいものが10年以上も広まらなかったんだろう・・・という気持ちだった。

そして、夢中で、先生の勉強会を追っかけることが数年続いた

その後、たまたま糖尿病から心臓の合併症を起こし、市民病院に入院していた患者さんが、退院後かかりつけの医院から、食事指導に紹介されてきた。

データを見たらクレアチニンが確か3か4くらい、BUNも同様に高かったと思う。疾患名には、糖尿病と、腎不全とあり

低タンパク食のオーダーだったけど、主治医は当時私が0.5ℊ/dlの低タンパク食を指導できるとは思っていなかったようだった。

幸い、患者さんは60歳70歳のご高齢であっても、日記をつけるように自分の食べたもののたんぱく質とエネルギーを日記につけ、成分表で、1日30g以下の低タンパク食の食事に取り組んでくれた。


その結果、BUNだけでなく血糖値もクレアチニンまでも見事に改善した。

その患者さんが、退院後の検査で市民病院に受診したとき、主治医がビックリして電話をかけてきた。

「山内さん、低タンパク食指導しているんですか? これからも市民病院の腎不全の患者さんを送ってもいいですか?」・・・・と

そのときご縁ができたのが、実は、昭和大学医学部卒、昭和大学藤が丘病院で出浦先生のもとでお仕事をされていたという高山公洋先生だった。

現在は、色々な低タンパク食品や、腎不全のエネルギー調整直品が次々と開発されてきているけれど

当時は、ゆめご飯がはじめて市場に出始め、、まだ、主流はでんぷん米や、春雨の親分のようなでんぷんうどんがあったくらいの頃だったから、いまのように恵まれた環境ではなかった。

それでもゆめご飯1/3が販売された時、患者様はその美味しさに
「ゆめのようなご飯だ」といって涙したのを覚えている。

主食を低タンパクにすることで、おかずが食べられる!!

「食べちゃいけない食品はないんだね」

「何でも食べられて嬉しい」

「毎日やっていると、計算することは問題じゃないよ。」

「このメーカーのこの食品のほうがタンパク質少ないんですよ」・・・・などなど


当時係わった多くのの患者様が、どんどん明るくなって、前向きになっていくのを感じていた。



そして、これもまた

6月に、日総研出版の企画で CKDの治療と食事療法のセミナーを。

高山先生とご一緒に名古屋で実施することになっている

http://www.nissoken.com/s/12101/index.html


今日のセミナー会場で、出浦先生に声をかけた

「お久しぶりです。ご無沙汰していました。覚えていらっしゃいますか?」

「覚えているよ」

「高山先生とご一緒に仕事をすることになっているんですよ」

「そうかね。一緒に腎臓病学会にいらっしゃい」・・・ととても喜んでくださいましたよ


なんだかとても懐かしいです。

私は、出浦先生ほどハードにでんぷん食品にこだわるほうではなかったが、それでも1日30g;以下の食事療法は困難ではなかった。

行きむしろ、おかずのバリエーションが増え、患者様のモチベーションは確実に上がるし、死生観が違ってくる。

「お陰さまで、透析に進むのが恐くなくなったよ」

「計算しながら食べることを覚えたから、透析食に変わってもやっていける」

「明日にも透析といわれていたのに、人生を得した気分だ」

前向きに立ち向かう患者様から多くの学びとエネルギーをいただいた。


今臨床から離れてしまった私は、学生たちに低タンパク質食の重要性と、低タンパク食の簡単な取りくみ方のノウハウを実習を通して伝えている。

孫の○喜くんは今年中学3年生の腎不全患者だ。

生後2歳から低タンパク食を続けているので、10年以上コントロールしていることになる。

すし屋でも、中華店でも、パスタやさんでも、どこへでも低タンパクの主食持参で食べに行く。

いま食べているご飯は 生活日記 1/25 かな?

画像





















ありがたいことに、当時に比べたら タンパク調整食品の開発は目覚しく、食事療法は何とやりやすくなったことか!!

パスタも、パンも、チョコレートさえも低タンパクのものがどんどん開発されるようになったのは、多くの企業の支援が得られるようになってきたことと嬉しく思っている。


次回は、腎不全の患者さんのカウンセリング事例でも紹介しましょうか?

孫の低タンパク食の工夫でもいいかな?







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この記事へのコメント

  • イズミ

    初めまして。先日、出浦先生のお話をお聞きして、腎不全に関して自分の指導が間違っていることに気付かされました。低たんぱく食について、とても理解を深めることができました。出浦先生の本を買って、今読みあさっているところですが、どうしてもわからないことがありコメントさせていただきます。出浦先生は、低たんぱくを始めるCrの数値基準をどう設定なさっているのか、ご存じでしたら、よろしくお願いします。
    2010年07月22日 23:08
  • ykeiko

    イズミ様、はじめまして。
    >浦先生は、低たんぱくを始めるCrの数値基準をどう設定なさっているのか
    というご質問ですが、先生の設定値は、患者様を見て先生が判断されていることなので分かりませんが、先生はかなり早い時期から低たんぱく食の導入をすすめられていらっしゃると思います。
    Crが1.5を越えれば、腎機能は50%以上の低下ですので、腎臓の負担を取り除くことは無駄ではないと思います。
    低たんぱく食の管理が難しかった時代ならともかく、現在は主食から入るたんぱく質を、低たんぱく米や調整食品でほぼゼロに近いとことまで持っていけるので、献立はかなり満足のいく形になりますね。
    私の経験ではCrが1.2でも、食事の改善でBUNもCr も安定した例があります。
    低たんぱく食をきちんとやれば、Cr:BUNは必ず1:10以下になりますね。
    十分なエネルギー補給が保たれていれば、栄養障害は起こりません。良質のたんぱく質(PS100に近い食品群)を十分取り入れることが可能になるので、かえって患者様のQOLは上がります。
    Crが4・5と高くなってからの方が食事改善による変化は目に見えてきますが、患者様が十分にエネルギー補給でき、前向きに取り組めるようであれば、早期からの導入は無駄ではないでしょう。
    2010年07月23日 05:10
  • ykeiko

    ちなみに
    取手方式(椎貝先生)・・・たんぱく質の摂取量がぶれて、基準量より少なくなってしまうことを避けて  0.8g/kg/日(0.4~0.5  0.6 0.8~0.9g/g 3群間に大きな差は無かったので0.6~0.7g/dlを提唱しています)
    慶応病院(平田先生)・・・2200kcal,たんぱく質20g(無理なら30g)、食塩6g
    昭和大学(出浦先生)・・・0.5g/日以下でなければ効果がないということで(藤が丘HP 0.3~0.5g/日以下、これでで栄養障害が起きた経験は全くないとおっしゃっています。)
    私は、0.5g/日程度でやってきました。
    栄養相談は、「医師の指示のもと」から「医師と相談で」に法律的のも変わったわけですから、どんどん積極的にアプローチして、良い結果を出して言っていただきたいと期待しています。

    2010年07月23日 05:11
  • イズミ

    ご回答ありがとうございます。出浦先生は、ガイドラインの0.6~0.8gというようなたんぱく制限だと意味がないとおっしゃっていました。私が受け持っている患者さんも、1.5~2のCrの患者さんが何人かいらっしゃって、0.6~0.8で指導してきましたが0.5にしなければならないなあと感じています。ありがとうございました。
    2010年07月23日 13:24
  • ころころもち

    出浦先生の本と出会い、小田原食事サポートセンター杉山先生のご指導の下、2月より低たんぱく食はじめました。主食を低たんぱく・デンプン米にしています。
    2016年05月07日 17:27
  • ykeiko

    ころころもちさん
    低たんぱく食スタートされたんですね。
    今は昔と違い、色々なメーカーが美味しいご飯や、パン、スパゲッティ、お餅などいろいろ楽しめる時代になりました。
    購入もネットからできるようになり、便利ですね。
    おかずの組み合わせも、イラストにのせて食べるだけのCKDヘルシープレートを開発中です。今しばらくお待ちください。
    2016年05月09日 09:08

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