若い女性・女の子のお母さん必見!!子宮頸がん予防ワクチン:その有効性と安全性について(その②)

子宮頸がん予防ワクチン:その有効性と安全性について
(その2/2:安全性について)


【ワクチン接種に伴う有害事象について】

子宮頸がん予防ワクチン接種に伴う有害事象について記載します。
有害事象と副反応という単語について簡単に解説します。有害事象(adverse events)は因果関係を問わない接種後の全ての悪いことを指します。有害事象は、真の副反応(adverse reactions, side effects)と偽の副反応(偶発紛れ込み事故: coincidental events)を包含します。有害事象=真の副反応+偽の副反応、です。偽の副反応は、全く関係ない事故(極端には溺死、マラリアなど)を含んでしまいます。しばしば、有害事象と副反応は混同されます。ワクチン接種後の健康被害を考える上では、この点を御理解頂くことが大変重要です。

2価ワクチンは2009年5月時点で400万人以上に接種されていると推定されています。一般的なワクチン同様、接種後に接種部位の痛み、かゆみ・腫れが生じます。また、全身的な副反応としては、疲労感や頭痛、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛など があらわれることがありますが、一過性であり、数日で軽快します。なお重い有害事象として、まれにショックまたはアナフィラキシー様症状を含むアレルギー反応、血管浮腫が認められることがあります。頻度としては、注射部位の疼痛が99%,腫れ,発赤等が70-80%, 全身症状として筋肉痛が45.3%,頭痛が37.9%,発熱が5.6%,蕁麻疹が2.6%と報告されています。

日本での子宮頸がん予防ワクチンに関する有害事象(=真の副反応+偽の副反応)情報ですが、8月6日の参議院厚生労働委員会で、川田龍平議員の質問に対して答弁が行われました。医薬食品局長は答弁で、「昨年12月の発売以来、まれにおこるショックなどの症状も含めて37人に79種類の副反応が疑われる報告がPMDA(医薬品医療機器総合機構)に上がっている。これらは、担当医が重篤と判断(報告=重篤となります)したものであるが、筋痛や注射部位の強い痛みなども含まれている。現在は調査中であるが、死亡や障害に至った例はない。副反応に関してPMDAからの医療費支払い請求はない」との回答でした。足立信也政務官は、「今後の副反応の調査のために、ワクチン全体で1000万例規模の市販後調査をすることや、子宮頸がんワクチンについても1000例の市販後調査をする」と言及しました。

ワクチン接種により子宮頸部前がん病変のがん化が促進されることはありません(ワクチン接種群と偽薬群で差がないことが示されています)。

不妊についてですが、2価ワクチン(400万人以上に接種)、4価ワクチン(2300万回以上接種)で、不妊の頻度が高まったとする報告は現在ありません。8月5日、参議院予算委員会質疑でも厚生労働省側から明言されました。

流産についてですが、米国疾病情報局(CDC)の報告では、2価ワクチンを含むその他のワクチン接種によっても、流産の危険性が増すことはないとされています[19]。英国医学誌のBMJでは、2価ワクチン接種後の妊婦の流産リスクを解析した報告が掲載されていますが、ワクチン接種と流産の危険性に関連なし、と結論づけられています [20]。子宮頸がん予防ワクチンは前述のように11-14歳への接種が最も効果的とされており、本来妊婦さんを対象としたものではありません。また一般的に妊婦さんへの薬剤投与は、利益が不利益を上回る場合のみ慎重に行われます。そもそも、妊婦さんに対する本ワクチン接種は通常行われません。

本邦における2価ワクチンの臨床試験については、日本の添付文書[21]、承認での審査報告書[22]、論文[23-25]をご覧下さい。有害事象に関するデータも詳述されています。さらに、米国食品医薬品局(FDA)の2価ワクチンに関する安全性報告書[26]もご参照下さい。

死亡例ですが、2価ワクチンを接種後に亡くなった事例が、臨床試験時に2例、発売後に1例報告されています。検視の結果ワクチン接種が死亡原因ではなかったと結論されています。臨床試験時の2例は骨肉腫と糖尿病による死亡、1例は心臓・肺の悪性腫瘍による死亡であり、すべてワクチン接種前から存在していた疾患です[27]。

以上、子宮頸がん予防ワクチンは、過去の報告と併せると、他のワクチンと比べても特別に危険性の高いものではないと考えられます。

ワクチンには免疫賦活剤(アジュバント)が含まれています。これは、HPVに対する免疫力を維持するためのものです。2価ワクチンにはAS04と呼ばれる水酸化アルミニウム 500μg及びMPL 50μgのアジュバントが、4価ワクチンにはアルミニウム塩(AAHS) 225μgのアジュバントが含まれています。AS04には、スクワレンは含まれていません。また、アジュバントによる自己免疫疾患の発症増加、不妊は現在のところ報告されていません。

インドでの4価ワクチンの治験に関連する情報が広まっています。これは、120名の被験者のうち4名が死亡したという誤訳情報が広まったものです。DNA Indiaというサイトの記事が引用されています[28]。
実際の内容は以下の通りです。32000名の被験者が予定された治験において、母集団は不明ですが、120名に有害事象が観察され、うち4名が死亡した、というものです。
その後の調査により、24,705名の被験者のうち6名が死亡し、死因はウイルス熱、溺死、自殺、マラリアに伴う貧血、蛇毒であり、ワクチン接種とは関係なかった、と結論づけられています[29]。4価ワクチンの治験がインドで再開されたかどうかは不明です。

【ワクチンに関する恐怖】

本章では子宮頸がん予防ワクチンの安全性について論じる際に、書籍「予防接種は安全か」[30]の内容(P293-294)を引用し、子宮頸がん予防ワクチンの情報を加えて記載します。この書籍は予防接種について正しい情報を知るために最適であり、一読をお勧めします。

(以下引用)

ワクチンに関する恐怖は、いまにはじまったことではありません。1802年に漫画家が、初めて天然痘ワクチンを開発したエドワード・ジェンナーを揶揄するスケッチを残しています。牛痘の接種により、人間がウシになってしまうとしたものでした。当時もワクチン接種を拒否する人々がいました(著者注:[31])。
今日私たちは200年前の人々の無知と迷信を笑えます。化学の方法論、ロジック、道理のおかげで、人間がウシになるなどという間違った観念をもたなくなっているからです。しかしながら、ワクチンが様々な疾病の原因となることを信じ、ワクチンを接種させない親たちが(アメリカには)存在します。

(引用終わり)

ワクチンを接種しないことによる、不作為により生じるリスクも、知って頂きたいと存じます。ワクチンを接種しないことで、私たちはワクチンのない200年前に戻っているのではないでしょうか?日本は世界に比べ、予防接種制度が遅れていることから、多くの人々がワクチンで防げる病気(vaccine preventable disease: VPD)で被害を受けているのです。

人類の歴史は伝染病との戦いの歴史でした。かつては結核を始め、感染症が死因の1位でした。発展途上国では様々な伝染病が現在も猛威をふるっています。伝染病研究所(後の東京大学医科学研究所)・北里研究所・慶應大学医学部を創設した北里柴三郎先生は、ドイツのコッホ博士のもとで、破傷風菌純粋培養・破傷風菌抗毒素の発見・血清療法の開発と、画期的な業績をあげましたが、我が国の脆弱な医療体制の改善と伝染病の脅威から国家国民を救うために帰国しました。そして今、伝染病の克服により、死亡は激減し、私たちは健康な生活を享受しています。

そしていま、医学の進歩によりヒトパピローマウイルスが子宮頸がんの原因であることが明らかになりました。子宮頸がんは、ウイルス感染により生じるがんであり、ワクチン接種により予防可能ながんです。検診とワクチン接種が国際標準の医療ですが、ワクチン承認が遅れ、負担額が高額であるため、ワクチンの恩恵を享受できない現実があります。

【ワクチンは安全ですか?=効果はリスクより大きいですか?】

書籍「予防接種は安全か」[30]の内容(P45)を引用し、子宮頸がん予防ワクチンの有効性・安全性を再掲し、結びとしたいと思います。

(以下引用)

「ワクチンは安全なの?」という疑問に対する答えは、安全という言葉をどう定義するかによるということになります。もし安全を、全く副作用などがない、というふうに定義するのであれば、答えはノーです。しかし、完全に安全なものはありえません。

「ワクチンの効果(感染を防ぐこと)はワクチンのリスク(副反応)よりも大きいか」という風に質問をいいかえてみるといいでしょう。それに答えるには、次の三つの情報が必要となります。

(1) それぞれの感染症にかかる危険性はどれくらいのものか
(2) それぞれのワクチンの副反応のリスクとは何か
(3) ワクチンは病気を防ぐためにどれぐらい有効なのか

(引用終わり)

子宮頸がん予防ワクチンに関していうと、最初に述べたとおり、以下のようになります。

(1) について
子宮頸がん原因ウイルス(HPV)に日本人女性が一生のうち一度でもかかる危険性はほぼ80%。このうち0.15%が1期以上の子宮頸がんを発症。日本人では年間15000人の新規患者発生、3500人が死亡。子宮頸がん罹患率は、100万人あたり140人。30-50歳の間では、100万人あたり400人を超える 。

(2) について
子宮頸がん予防ワクチンの安全性は高い。有害事象として、ワクチン接種部位の局所発赤・腫張・発熱などがよく認められるが、これは他の種類のワクチンと同様で、重篤なものは少なく一過性で回復するものがほとんど。ワクチン接種が直接的死因となった報告は乏しく、死亡リスクは1/100万-500万分の1以下と推定される。

(3) について
現在日本で使用されているワクチンは16・18型HPV感染を予防し、このHPV型関連の子宮頸部の前がん病変をほぼ100%抑える。効果が続く期間は現在時点で少なくとも6.4年継続することが確認済みで、恐らく20年以上継続すると推定されている。HPVに感染し、前がん病変ががん細胞になるには数年から十数年かかる。よって若年女性に対するワクチン接種により、現在最も子宮頸がん発症頻度の高い20-40代のがん発症の予防効果が期待され、妊娠・出産時期の女性の子宮を温存することができる。検診とワクチン接種の併用で、子宮頸がんの年間15000人発症、3500人死亡をほぼ0人にできる。

以上の情報を知った上で、ワクチン接種の是非を判断して頂ければ幸いです。

【参考資料】
19. Centers for Disease Control and Prevention. Guidelines for vaccinating pregnant women-human papillomavirus. CDC, 2008. http://www.cdc.gov/vaccines/pubs/preg-guide.htm#hpv
20. Wacholder S et al. Risk of miscarriage with bivalent vaccine against human papillomavirus (HPV) types 16 and 18: pooled analysis of two randomised controlled trials. BMJ 340:c712, 2010.
21. サーバリックス添付文書, 医薬品医療機器総合機構. http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/631340QG1022_1_02/
22. 審議結果報告書.医薬食品局審査管理課, 平成21年9月8日. http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/g091015/34027800_22100AMX02268_A100_1.pdf
23. Konno R, et al .Efficacy of Human Papillomavirus Type 16/18 AS04-Adjuvanted Vaccine in Japanese Women Aged 20 to 25 Years: Final Analysis of a Phase 2 Double-Blind, Randomized Controlled Trial. Int J Gynecol Cancer. 20(5):847-55, 2010.
24. Konno R,et al. Efficacy of human papillomavirus 16/18 AS04-adjuvanted vaccine in Japanese women aged 20 to 25 years: interim analysis of a phase 2 double-blind, randomized, controlled trial. Int J Gynecol Cancer. 20(3):404-10, 2010.
25. Konno R,et al. Immunogenicity, reactogenicity, and safety of human papillomavirus 16/18 AS04-adjuvanted vaccine in Japanese women: interim analysis of a phase II, double-blind, randomized controlled trial at month 7. Int J Gynecol Cancer. 19(5):905-11, 2009.
26. CERVARIX: Human Papillomavirus Bivalent (Types 16 and 18) Vaccine, Recombinant Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee (VRBPAC) Briefing Document. FDA, September 9, 2009. http://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/BloodVaccinesandOtherBiologics/VaccinesandRelatedBiologicalProductsAdvisoryCommittee/UCM181371.pdf
27. Cancer not cervical cancer vaccine killed UK teen. Reuter News, Oct 1, 2009. http://www.reuters.com/article/idUSTRE5905EN20091001
28. Cancer vaccine programme suspended after 4 girls die. DNA India, Apr 8, 2010. http://www.dnaindia.com/india/report_cancer-vaccine-programme-suspended-after-4-girls-die_1368681
29. Death of six children not due to HPV. The Hindu, April 17, 2010. http://www.hindu.com/2010/04/17/stories/2010041760681800.htm
30. ポール・A. オフィット他. 予防接種は安全か. 日本評論社, 2002年4月刊. http://www.amazon.co.jp/dp/4535981736
31. The Cow-Pock-or-the Wonderful Effects of the New Inoculation!-vide. the Publications of ye Anti-Vaccine Society. http://en.wikipedia.org/wiki/File:The_cow_pock.jpg

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